Cross Media Conference 2015 in Nagoya

2月19日、名古屋で「第2回 クロスメディアカンファレンス NAGOYA 2015」のセミナーで登壇しました。このイベントは、中部グラフィックコミュニケーションズ工業組合の主催で二回目となります。

著書『IAシンキング』を読んでいただいた方々からのオファーで実現したこのイベントは、これまで接点がなかった方々と出会う機会になりました。

いくつか気づいた点などを含めて書いておこうと思います。

顧客視点への転換によるこれからのマーケティング

基調講演には、関西学院大学の准教授でもある理央さんにご講演いただきました。タイトルは「顧客視点への転換によるこれからのマーケティング」です。その中で、非常にわかりやすかったことに「何を・誰に・どうやって、の順に考えること」があります。情報アーキテクチャの説明でもよく使う「コンテンツ・ユーザー・コンテクスト」と同じことを指しているため、はじめから興味深く聞くことができました。

  • 「何を」は、サービス企画をするうえで他社との差別化と独自化の違いについて
  • 「誰に」は、ユーザーのライフスタイルから価値観から行動につなげるヒント
  • 「どうやって」は、表現と媒体についての具体例

とくに表現では、顕在ニーズではなく潜在ニーズを探る重要さについてマトリクスでご説明いただきました。行動と深層心理に加えて「使う価値(利用価値)」を考えることは、ペルソナ・シナリオを考えるうえでももっとも重要です。

終始、大学の講義を受けているような雰囲気で、参加者とのやりとりもあり白熱教室ばりにとてもわかりやすい授業を受けることができました。理央さんの書籍『「なぜか売れる」の公式』もいただくことができたので、復習してみようかと思います。

IA視点のモノづくり

ボクのセッションはクロスメディアを企画する際のUX思考アプローチについてお話しました。参加者には印刷業界経験者の方も多いと聞いていたため、Web業界でのトレンドや考え方についてお話するとともに、そのためにはUXデザインが原点であり、そこから見えるクロスメディアの捉え方を共有することにしました。

いい製品でも、いい体験とは限らない」つまり「いいUIでも、いいUXとは限らない」ということは、自分では理解していることですが、Webに限らず印刷のデザインにも通じることなので、そこからお話するとともに、プロセスの重要性から紐解いてお話ししました。ユーザー行動をとらえることとは、ユーザーとサービスとの接点となるタッチポイントをデザインすることになります。そのためのデザイン作成には「モバイルデザインのヒント」にもあるような「コンテンツファースト」が参考になる点をお話しました。

ミニワークでは、当日のイベントを題材にし、ウェブページをつくる際の画面構成についてユーザー行動をもとにした情報設計を体験していただきました。こうしたワークでは自らアウトプットすることが重要であり、仕上がりのキレイさや絵の上手さではなく「論理的な思考をもって説明ができるか」ということが何より重要です。はじめてする方もいたようですが、積極的に取り組んでいただきとても活気のあるセミナーにすることができました。

ミニワーク
ミニワーク

講演スライドは有料セミナーということもあり、参加者にのみ共有しています。

最後に

マーケティング」と一口に言っても、そこに潜むさまざまな事象とその捉え方には、話す人のバックグラウンド(経歴)が大きく関係してきます。とくにコンサルティングの立場で話すことと、実作業にともなう必要な知識には開きがあると思います。今回のカンファレンスは、同じことをさまざまな切り口で聞くことができ、最後に自分の言葉にすることができた「身につく」イベントセミナーになったのではないかと思います。

個人的には、いつもとは違う雰囲気で若干緊張していたのですが、主催の方々からの助言をふまえて、印刷業界からWeb業界に移った頃のお話からはじめることができたので、とてもいい状態でセミナーを進めることができました。

最初から最後まで、熱心にお話を聞いていただいた参加者の皆さん、そして信頼していただき自由にセミナーをさせていただいた関係者の皆さん、あと名古屋でお世話になった方々、ありがとうございました。また、名古屋に行ける日を楽しみにしています。

主催の川原さんのブログ

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