前回の記事「HIS 2013 – IA and Mobile frontier of Web designing」に、論文の内容を書いてみましたが、そこに至るまでにはいろいろなことがあり、またはじめてのことだらけだったので、とてもよい経験ができました。せっかくなので、日記風に振り返ってみます。
機会
九州産業大で開催されたイベント「Future Sync vol.3」の休憩時間に、同じく登壇者だった浅野先生といろいろな話をしました。
そのなかで、抽象的な事柄を扱っている自分の今後について、論文みたいなもので公式にアーカイブされることが、概念を積み重ねていくうえでは貴重な気がしている、というようなことを話をしました。「であれば、ヒューマンインターフェース学会の次のシンポジウムに論文を投稿するといい」という助言を浅野先生からいただきました。
そのときの話がとても自分には心地良く、次のステップが見えた気がしたのを覚えています。
論文
面白いのが、論文にもいろいろタイプがあり、A4で2ページだけのもある話や、チェックされる場合とされない場合があること、ワークショップの結果レポートでも成立するといったようなこと話を聞き、それであれば自分にもできるかも知れないと思いました。
というのも、わたしは大学に行っていないため論文を書いたことがありません。しかも学会論文なんか読んだこともないので、参考文献をどこから探すのかもわかりませんでした。
ヒューマンインターフェース学会はアーカイブが公開されていないので、デザイン学会のアーカイブを参考にしました。いくつかピックアップしてそれらを参考に書き始めることになりました。
テーマ
投稿する前に応募を済ませなければいけないため、テーマを考える必要があります。いろいろ考えた末に「Web情報アーキテクチャとモバイルフロンティア」というテーマにしました。
当時、書籍「モバイルフロンティア」にヒントを得て講演をしていたこともあるので、それであれば書けるかなと思いました。ボクは学術肌ではないので、研究結果というより、これまでいろいろな人や本やブログなどから得た知識を経験則としてまとめてみることにしました。はたしてそれが論文として成立しているのかどうかは今でも不安ですが…。
アーカイブ
本はカタチに残るというすばらしい特性を持っています。
今も執筆に取り組んでいる書籍があるのですが、本というか本屋さんに行くたびに不満に思っていることが1つあります。それは同じテーマや同じ作家の歴史がわからないことです。
当たり前ですが、著書「IAシンキング」は当時考えていたことで、すべて過去のコトです。本棚に、これは2011年に発売された本として並んでいればいいと思うのですが、そうなっていません。本棚では、あたかも「今」を演出しています。先日もある作家の本を2冊買って読んだら、新しいほうを先に読んでいたことがわかり、積み重ねではなく振り返りになってしまったことがあります。
動機
論文投稿は、その時期に考えている概念をアーカイブしてくれる貴重なデータベースだと思います。
何年の論文ではこういう表現だったが、翌年にはこういう表現になっている、といったことが残ります。浅野先生の話で一番関心を持った点が実はこのことだったのですが、もちろんブログでもできるしアマゾンで検索すれば見つかるとも思います。ただ、学会という公式なアーカイブに、その年に考えていたことが残る、そういうことをしてみたいと思ったのが動機です。
投稿
実は、論文投稿日前後に仕事が立て続けに山を迎えてしまい、書こうという思いだけはあったのですが、その日を逸してしまいました (泣)。浅野先生に紹介いただいたこともあり、たいへん申し訳ない気持ちでいっぱいだったのですが、山を越えた翌日に「翌正午まで待ってくれる」と事務局から連絡が届き、大急ぎで書きかけの論文を書き終えることになりました。
Wordのテンプレートに合わせて図などを配置するのがものすごく難しく、その編集だけに無駄な時間がかかってしまいましたが、その後深夜にもかかわらず浅野先生にも目を通してもらったり、若干の修正をしてなんとか投稿を完了することができました。すぐに発表プログラムも公表され、わたしの発表は9/13に決まりました。
スライド
発表日前日は、投稿時から思ったより時間が空いていたため、ほとんど忘れてしまっていたこともあるのですが、ほかの方々の発表風景がFacebook上にあがっているのを見ていると、どうもスライドを使って発表しているようでした。
スライドは必要ないと思っていたので、これまた「どうしよう」と困っていました。そんなときに、ちょうどいいタイミングで前日朝に浅野先生から「今日は行けなくて申し訳ない」と、フライングでメッセージが届きました。「ボクは明日です」という軽快な返信をしたこともそうですが、浅野先生が自身のスライドを「こんな感じです」と共有してもらえたのです。
10分発表にも関わらず?ページのスライド! どんだけのスピードで話したのか実際に聞いてみたかったのですが、そのスライドを参考に、これまでになく事務的なスライドを作ることができました。
発表
はじめて早稲田大学に行ったこともそうですが、どういう雰囲気かもわからなかったのでヘンに緊張していました。そして会議室に足を運ぶと思ったとおり、静かな中で登壇者がマイクで説明し、あとに質疑応答とある意味、発表のベルトコンベアーかと思うくらい、鈴が鳴ります。
そのなかで、発表をしたのですが、やはり同業者がいないことや、いつものイベント講演とも違うため、なにが刺さっているのか、なにが興味を持ってもらえるのかが反応をみてもわからず、あっという間に10分が終了。
やはり時間に収まりませんでしたが、案の定質問もなく。司会者が場をつくっていただけたことで、お一人だけ質問をいただきました。
感想
今回、わたしが書いた内容は、それこそ経験則でしかないため、研究結果とは違います。経験則を発表というカタチがあるのかどうかわからないのですが、もう少し研究や分析色がないとやはりダメだなと思いました。
このあたりはそれこそ論文経験者からのご意見をもらいたいところです。それと、論文の書き方(文体含め)は、なじみが薄いせいもあり、かなり難しかったです。「慣れでしょう」と浅野先生はおっしゃっていましたが、そういうフォーマットとして次からは慣れていければと思いました。
また一方で、発表時のスライドは、たぶん1枚で図解するくらいでちょうどいいと思いました。
10分の中にあれこれ詰め込むのはやはり無理がありますね。
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