時代の潮流と逆行する考え方かもしれませんが。
デジタルガレージのイベント「New Context Conference 2011 Fall (Lean Startup Camp Tokyo)」および「Lean UX」関連のイベント「第7回 #ShibuyaUX Meeting “Lean UX Special”」に参加して思ったことを書いておこうと思います。
「Lean UX」という言葉を最近よく聞くわけですが、いろいろと見聞きした結果、個人的には非常に消化不良なテーマだと感じました。「Lean UX」については、LUXr社のJanice Fraserさんの東京でしたワークショップのスライドをご覧ください。Tokyo 1 day (日本語)
サイクルを早くする (スピードを上げる) ことは、効率を考える上で必ず出てくる話なので、それ自体を否定するわけではないのですが、それもこれも一定の品質保証ができてはじめて言えることだと思っています。
たとえば、ローンチを早くしてローンチ後にFBをもらって向上していくというサイクルがよく示されたりしますが、ローンチ後のFBで変えられる範囲はごく限られます。それこそボタンの位置や装飾の度合いなどだったりするでしょう。あとでゼロから作りなおすことができる状態であれば別ですが、そんなことはまずありえないです。
「Lean UX」の事例を質問したところ、A/Bテストを解説していたときの違和感も記憶に新しいです。A/Bテスト自体は分析方法の1つで、それを解説されてもただのPDCAサイクルとなんら変わらないことは自明です。
なんだかんだで、はじめて目にするUIがすべての印象を形成すると思うので、その後すぐに変えたからといって、はじめの印象が変わるとは思いません。そうすると、この「Lean UX」で言っている文脈では、印象やブランドを形成するデザインに関する話がすっぽり抜けていると思うわけです。
分析結果をもとに良い方向に変えていくことを否定するつもりはないのですが、そこだけに偏ると数字至上主義にもなりかねない傾向になると思います。
「UX」と言うからには入っていて然るべき「ブランド」や「ブレてはいけない部分」が、検討期間や実装期間を早めることでスポイルされてしまわないようにしないとダメだろうなと改めて痛感しました。「期間が短い = 品質が低い」とならないようにしないといけないと思います。
そんなわけで個人的に「Lean UX」は、一定の品質保証ができてはじめて言える開発手法だと思います。
「Lean UX」とか言う前に「ブレてはいけない部分」の品質を高めることにもっと時間をかけたいと思いますし、その品質が保証できないのであれば、ローンチするのではなく撤退することを判断できるチームワークが必要だと思います。
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