World IA Day 2012 Tokyo Keynote

2012年2月11日 (土) に「World IA Day 2012」が全世界14都市で開催されました。このイベントは、世界各都市で活動中の「IA Institute (IAI)」という団体が主催で、日本 (東京) からは「情報アーキテクチャアソシエーションジャパン (IAAJ)」としてエントリーし開催することになりました。

イベントサイトでもある「Lanyrd.com: World IA Day 2012 Tokyo, 11th February 2012」でもページができあがっています。ここに掲載されているとおり、オーガナイザーとしては、コンセント社長谷川さん、運営スタッフとしては、佐藤さん浅野さん奥さん村越さん山中さんが中心となり、わたしもスタッフとして参加させていただきました。

オールスターが勢ぞろい

これまで、世界各都市をつなぐ同日開催のイベントという意味では「UPA (Usability Professionals’ Association)」主催の「World Usability Day」に参加したことがあったので、それのIA版だろうという安直なイメージでしかなかったのですが、はじまってすぐに主催の方々のビデオレターをみるとやっぱりテンションがあがるというか、自分たちでもよく耳にする言葉を使って話されている風景を非常にうれしく感じました。

今回のイベントは、イベントとしての規模もさることながら、セッション内容の構成や濃度という意味ではこれまでになかった試みになったと思います。個人的に一番印象に残っているのは、上野さんのセッションです。彼のブログ「Modeless and Modal」もそうですが、継続して研究されているという試み自体に非常に関心を持ちました。

参加者のツイート (Togetter) やアンケート結果を見ても、山田さん (青山学院大学) の「行動経済学」や上野さん (ソシオメディア) の「モーダルvsモーダレス」の話は興味関心度が非常に高かったことがわかります。

また、安藤さん (産業技術大学) の「わかると理解するの違い」も今回こうしたイベントに参加してこなかった方にUXを理解するうえではたいへん響く内容だったと思いますし、セッション間にあったパネルディスカッションでわたしも参加した「ストーリー・テリング」の前田さん (Zinga Japan) とのやりとりは非常に興味深い内容だったと思います。最後のパネルディスカッションでは、岩佐さん (リクルート社) も参加した中で非常に濃い質問まで飛び交い最終的には時間切れ感が強く継続的なイベントとして取り組んでほしいといった希望も多くありました。

答えではなく問題を探す

今回、長谷川さんからお声がけもあり「キーノートスピーチ (基調講演)」をさせてもらうことになったのですが、なにぶん (イベントとしてもキーノートとしても) はじめての試みでもあったため、どういう話がいいのか考えるところがありました。

講演するキッカケになったのは、昨年講演をした「HCD-Net: 人間中心設計推進機構」の賛助会員向けイベントでして、そのときに紹介した自治体のプロジェクトの内容をもう少し本イベントのテーマ「理解の構造をデザインする」に即したものにできないか、ということでしたので、自分なりに再考してみて前半部分をだいぶ変えて作りかえて構成しました。当日のスライドは Slideshare で公開しているので詳しくはこちらをご覧ください。“World IA Day 2012 Tokyo” Keynote Presentation

答えを探すのではなく、問題を探す」というのを今回のキーメッセージにしたのですが、「答えを求めがち」という昨今の課題 (こちらの ポッドキャストも参考になります) を解決するソリューションとして「問題を探す」というアプローチにしてみました。この話はわたし自身が「デザイン思考 (デザインシンキング)」に強く共鳴しているところがあるので、それらと重ねて話をするほうが理解がしやすくなると思ったからです。

後半は、自治体の取り組み「OpenUMプロジェクト」を事例として紹介したのですが、この自治サービスとしてのデータベース構築 (の設計方針) と実際の活用方法とはまだまだ距離がある話です。ただ、この設計方針を推進していく上では数々の理解の積み重ねが必要となり、とくに行政関係の状況を汲んだカタチにできればければ持続可能性も難しくなります。今後はこうした取り組みを進める一方で、活用方法のプロトタイプや事例を紹介できるようにしたいと考えます。

今回のイベントは (キーノートをしたこともありますが)、世界の中での日本の位置づけや日本としての課題などが1つのテーマ (この場合はIA) で集まり議論を深める機会になったと思います。もう少し小規模でもこうした取り組みを継続的にできるプラットフォームがほしいと改めて思いました。

講演者のスライド

関係者の感想

参加者のツイート

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