UXを一枚の写真で表したら by n2linux
UXを一枚の写真で表したら by n2linux

2/21 (水)、オンラインで無料授業を届けるサービス「schoo (スクー) web-campus」で Ustram での生放送の授業を担当させていただきました。

生放送でしたが、会員登録すれば録画されたものをご覧になれます。当日のスライドは Slideshare で公開しています。

Webサイトにおける UX (ユーザー体験) をわかりやすく説明するというテーマで、1時間ほどお話させていただきました。「UX」がテーマとなるとなかなか範囲も深さも難しいので、アジェンダは以下の3つにしました。

  1. プロセスとUX (顧客開発やリーンUXについて)
  2. ユーザー行動とUX (エクスペリエンスマップについて)
  3. 心理とUX (ゲーミフィケーションや心理学について)

公開までの時間の差

はじめに、企画から公開までの時間を参加者に質問させていただきました。多かったのは3カ月で、1カ月などもあるようでした。個人的に「UX」云々を話す際に、まずこれを聞いておきたいと考えていました。というのも、ボク自信が関係する案件では、企画から公開までを半年以上や1年単位でするものが多く、1カ月や3カ月でするものはあまりないことが理由です。この前提が違っていると、おのずと「UX」云々の捉え方は違ってきます。とくにはじめのアジェンダでお話ししたプロセスが違うことが想像できます。

アジャイル開発からリーンUXへ

顧客開発プロセスにおいて、スピーディーなサイクルは必然となりますが、そのうえで開発手法として「アジャイル開発」があります。とくに「顧客とのコラボレーション」「変化への対応」は、アジャイル開発に限らずさまざまなところでも似たような話を聞くことができます。その中でその手法を「UXデザイン」に応用したのが「リーンUX」です。LUXrJanice Fraser のスライド「Crushing the Boulder」を見ると内容が理解できます。

リーンUXについては個人的にも疑問だった、クオリティを守るのか先にリリースすべきかの判断は、参加者からの質問にもありました。これについては、次のように考えています。

「リーンUX」などでの議論は、顧客開発プロセスにおいて「スピーディーに・ミニマムに」と話しているだけなので、本質的なクオリティを殺してでも「スピーディーに・ミニマムに」とは語っていません。これはプロダクト開発における品質管理になるため、別の話と思ったほうがいいでしょう。

あえて区別して言うのであれば、ショートターンのサイトの場合、クオリティにこだわるべき。継続的なサイクルが求められるものは、先にリリースするほうを優先するなどが考えられると思います。

製品に触れる前から体験ははじまっている

クロスチャンネルの話をする際に、AIDMA や AISAS などを前提に話すと整理がしやすくなります。とくに「ステージ」と言われる、顧客の状況 (?) を整理することは、その後の役割や定義に大きく関係してきます。「予期的UX」に含まれるこの「製品に触れる前の体験」は、マルチスクリーンで考えられる現在のタッチポイントで考えると「その製品には触れていないが、他の製品には触れている」状況が頻発します。Webは見たことないが、TVは見たことがあるなどがそれを指しています。つまり企業や提供側は、なんらかの他のタッチポイントでその製品でなくても事前に潜在顧客と触れている可能性があるわけです。

3つのUX

UX白書」によると、UXは「事象」「研究開発」「実践」の3つに分けられます。個人的には最後の「実践」は「UX」というより「UXデザイン」のことを指しているとしか思えませんが、もしUXについて議論をすることがあれば、いずれかを差してするほうがいいかなと思います。また、話題になった「UIやUXを一枚の写真にしてみたら」の例ですが、「UX」を表す写真に人がいないことに違和感を覚えたので、自分で「UXを一枚の写真にしてみたら」をやってみたところ、用意された食卓を見ていない状況としてみました。どれだけきちんと用意されたもの (プロダクト?) があったとしても、それを見てもらえていないかも知れない。そんなメッセージをこめています。

デザイン原則として体験を作り出す

iPhoneアプリ「Clear」を例に、事象を評価してどういう点が体験に結びついているかをいくつか書き出し、それらを整理することで、そのデザインを繰り返し使えるようにする。これは実践のUXでも触れられていますが、満足度が高い事象を客観的にとらえて、それを応用して次の満足度向上に役立たせることは重要です。また、リーンUXなどでも触れましたが、スピーディーなサイクルのためには、最終成果物での検証より先に「プロトタイピング」での検証が効率的です。最近では、ペーパープロトタイピングという言葉も聞き慣れてきましたが、Cloud ベースのプロトタイピングサービスも増えてきました。

ゲーミフィケーション

Foursquare に代表されるゲーミフィケーションの応用で、Samsung Nation をご紹介しました。これはWebサイトでの閲覧数や回遊率の向上を狙った事例です。Foursquare と同様にポイントをバッジのように視覚化しており、たとえば埋没してしまったコンテンツを閲覧するだけでポイント (バッヂ) が付与されます。また、次々に「このようなことをしたら◯◯が得られます」という繰り返しが表示されるため、目的の不明確な利用者や時間つぶしに訪れた利用者なら無意識にサイト閲覧などが進む構造になっています。

心理と情報アーキテクチャ

マジックナンバー7±2」という説は、ボク自身が IA (情報アーキテクチャ) に関心を寄せはじめた際に覚えた1つで、はじめての論理的解釈でした。それに対して「一度に覚えられるのは4つだけ」と書かれた「ユーザーインターフェースの心理学」はそういった心理学や脳科学から見た説が100も紹介されているのでとても興味深いです。IA (情報アーキテクチャ) タスクにおいて、サイト構造やナビゲーション設計をする際にとても役に立ちます。逆にいうと、これらのことがわかっていないと設計はしきれないとも言えます。

UXの本質

以上のように、さまざまな視点で3つのアジェンダをまとめたところ、以下のようにまとめることができます。

  • プロダクト開発から顧客開発へ
  • 利用シーンからサービスを俯瞰する
  • 仮説を見つけ、その人の心理を探る

スクーとUX (余談)

「坂本先生!」「着席しました!」「今チャイムが鳴っています!」など、学校がコンセプトということもあり、いたるところで「学校みたい」を感じる雰囲気がありました。また、参加者の投稿のうちどれが「質問」なのかわかるようになっており、とてもアプリケーションのUIデザインも考えられているなあと思いました。

学校と言えばで思い出したのですが、「WebSig 1日学校」とコラボレーションをすればいいんじゃないかとか勝手に考えてしまいました。

最後のほうで「投稿と質問タブ?の切り替えがわかりにくいのはUXの問題か?」についてお答えしたのは、ある事象を話す際に、主語が人であれば「UX」だし、プロダクトであれば「UI」と答えました。もしかすると、それは違うという方がいるかも知れませんが、先の3つの分け方においても、事象を示しているのか結果を示しているのかによっても分けてとらえることができるので、言葉数も少ないツイートだけでいろいろ議論するのは無駄骨な気がしています。

また、この授業ですが、最終的に受講者合計が1100名以上となったそうで大盛況だったということも教えてもらいました。これまでのイベントで講演した際の参加者数は、多い所で300人以上、たしか最も多かったので600人くらいだった気がするので、一度に1000人以上と対話したと考えるとものすごい数字だなと改めてインターネットの力 (パワー) に驚いています。

こうした機会を支援してくだったスタッフの皆さん、参加者の皆さん含め、生放送に不慣れな上に最後のほうは鼻声にまでなってしまい (TдT) 本当にありがとうございました。

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