去る2015年6月13日に「WDF Vol.18 – Webデザイン最前線」で登壇してきました。研究開発中の「UX Recipe」の経緯をUXデザインにおける課題と合わせて紹介し、その場でデモまでさせていただきました。秋葉さんや関口さんの講演も拝聴することができてとても貴重な一日でした。
二度目の金沢訪問
実は金沢へは二度目で、前回はたしか5年くらい前にIT研修セミナーで来た記憶があります。前回はたしか米原経由で行ったと思いますが、今回は3月にオープンしたばかりの北陸新幹線「かがやき」で2時間半くらいで到着しました。そしてたしか自動改札もなかった金沢駅だったと思いますが、今回はもちろん自動改札で立派な駅ビルになっていたり、前は「鼓門」だけだったはずが立派な「もてなしドーム」になっていたりと驚きの連続でした。
思えば、そのときに(5年くらい前に)はじめてイチガミさんとお会いしたと思います。たしか石本さんにお願いして井上さんもそのときにはじめてお会いした記憶があります。そのイチガミさんが主催として参加されている「WDF」の登壇ということで、とても楽しみにしていました。
エクスペリエンスを繋ぐために by 坂本
自分の講演は、研究開発中の「UX Recipe」の経緯をUXデザインにおける課題と合わせて紹介し、その場でデモまでさせていただきました。
IAでいう「ワイヤーフレーム」のようなアウトプットをUXでは「ジャーニーマップ」と解釈し、戦略と戦術、概念と具体化といった双方の視点の違いについて話しました。また、拡散と収束による思考プロセスのうち、ワークショップなどにみられる拡散を、収束させる取り組みとしてのオンラインサービスの有効性をお話しました。
最後に「UX Recipe」を実際に操作するデモを行い、カードソーティングにも似たユーザー行動の可視化とそれぞれの行動に紐づく情報の関連づけ、ダウンロードまでの流れをお見せしました。例によって、モバイルアプリでその場で撮影しカードにするところまでをさせていただきました。
日本語Webフォント最新事情と、文字の楽しさ・魅力も語るよ by 関口さん
はじめてお会いしたソフトバンク・テクノロジーの関口さんからは、文字の歴史から、書体が変わることでのインパクト、最近話題になっているシステムフォントやWebフォントについてお話いただきました。アップルがシステムフォントを「Helvetica Neue」から「San Francisco」にしたことは記憶に新しいですね。
とくにWebフォントは、企業や自治体サイトでの導入も増え続け、1,000以上のWebサイトで導入されているそうです。日本広報協会の全国広報コンクール2014で入選した小田原市の自治体サイトなどは、アクセシビリティとデザインの両立として高く評価されているそうです。日本語のWebフォントというとまだあまり普及していないように思えて実はさまざまなところで導入が進んでいることがわかりました。
Webフォントの導入メリットがまとめられていたので転記します。
- アクセシビリティ確保
- マルチデバイス対応
- SEO対策
- 制作効率アップ
- 多言語対応しやすい
- ブランディング
最後に、日本語フォントパッケージとして、779書体も同封されている「FONTPLUS」を紹介いただきました。その昔、グラフィックデザインをしていたときに使っていた気がするので妙に懐かしい感じがしました。
キミもチャレンジャー by 秋葉さん
秋葉夫妻でおなじみのツクロア代表の秋葉さんの講演は、ビジネスとユーザーとの関わり方のうち、デザインの捉え方やその場に活きる発想(センス)について独自のスタイルでお話いただきました。
「熱さまシート」に代表されるユニークなネーミングから、わくわくを感じない旅行会社には「旅嬢ズ」のようなキャッチなネーミングを提案するなど、利用者の感情に訴えるアプローチをすること。中でも興味深かったのが「TESSEL」で構築した「エサやり機」を、実際に猫で試したらすぐに破壊されたというエピソードです。会場は爆笑でしたし見事に本質ついてるなと思いました。我々が提供しているサービスには、人間も猫もいるわけで、プロダクトだけでは成り立っていないことをダイレクトに表現されていました。
TESSELについての取り組みを紹介する「Webデザイナー、 Tesselに挑戦」という秋葉さんのスライドが参考になります。
最後に紹介されていた3Dプリンタでツクロアのロゴをデザインされていたので、今度オフィスにお邪魔しに行きたいと思います。
秋葉さんの当日のレポートはこちらでご覧いただけます。
パネルディスカッション
テレビ金沢の黒口さんがモデレータを務めていただき「Web制作者のマインドセット」をテーマにディスカッションしました。「Web制作者のマインドセットをひと言で言うと?」という問いには、それぞれ以下のようなコメントをしていたかと思います。たぶん制作者というより一人のクリエイターとしての心得みたいなものだと思いますが、三者三様の答えでとてもおもしろかったです。
- わくわく感と執着心 by 関口さん
- 結局は人 by 秋葉さん
- 一人でやるとしたら、を考える by 坂本
個人的には「他人任せな態度」がもっとも悪だと思うので、自分の意思を持って活動することがすべてに通じると考えています。そうした意思を持っていない人は「(物理的にはいるんだけど)いない人」と考えてしまうので、途中で発言しましたが、思わず「死んでしまえ」と叫んでしまいます。ちょっとそこだけが記憶に残ってしまい怖い人に見えたかも知れませんが、それだけ強い意思を持ち続けたいと常に考えています。
まとめ
今回が二度目の金沢でしたが、とても新鮮でいろいろな気づきを得ることができました。講演者はもちろんですが、運営スタッフや参加者の方ともいろいろお話ができました。ありがとうございました。
懇親会では、金沢の皆さんの温かい雰囲気にずいぶんと呑まれてしまい、二次会まで参加させていただき、とても楽しい時を過ごすことができました。その中でも Code for Kanazawa の方ともお話できたことが、現在取り組んでいる Code for の取り組みにもリンクしていて興味深かったです。脇目には、秋葉さんは女子に囲まれ、ミュージシャンさながらの地方ライブ後のファンとの交流会のようだったのが記憶にあります (笑)。
翌日、妻と金沢を観光し東茶屋町で美味しい鮨を食べて帰りましたとさ。またぜひ行きたいと思います。