2017年6月3日に、沖縄(宜野湾)でのイベント「Okinawa Creators’ Holiday Vol.1」に登壇してきました。前日には、株式会社レキサスの社内勉強会に参加しUXワークショップを実施しました。
今回(第一回目)のテーマは「コミュニケーション」ということで、プロジェクトやコミュニティでの〈やりとり〉に着目する内容のイベントでしたが、その中でボクのほうからはコミュニケーションのための「コンテクスト」にフォーカスしてお話しすることができました。
このイベントの運営母体は、株式会社レキサスで、司会は同社マークアップエンジニアの有馬さん、設営その他もろもろをレキサスの皆さんにしていただきました。
※Okinawa Creators’ Holiday: OCSH (オッシュ) とは、沖縄のクリエイターのための勉強会・交流会です。
コンテクストデザインの理解
コミュニケーションを成立するためには「コンテクスト」が重要だと考えます。日本人に代表されるハイコンテクストを例に、どうしたらうまく伝えることができるのか、文脈・脈絡・背景などを改めて考えてみるセッションにしました。
途中、KAOSPILOT で学んだ「クリエイティブ合気道」を参考に、ペアワークも取り入れて、伝わらないときのもどかしさや伝わったときにどうしていたかを振り返るようにしました。
- ハイコンテクストは、言わなくてもわかることを大切にする
- 同じ言葉(例: UX)でも使う人や環境によって、コンテクストが異なる場合がる
- 「7つの切り口」のように、コンテクストは物事に影響を与えやすい
- ギャップがあること、ギャップに気づくことが大切
- うまく伝えるには、相手を見ること・まわりを見ること
クライアントとのやりとりも改善!? リモートワーク環境構築のすすめ
株式会社HAMWORKS(ハムワークス)の長谷川さんからは「クライアントとのやり取りも改善!? リモートワーク環境構築のすすめ」というタイトルで、同社でのプロジェクトの進め方について具体的にご紹介いただきました。実際に、外部パートナー(札幌・秋田・東京)と連携して進めることが多いため、よくあるリモートワークの失敗例を題材に、どう工夫されているかポイントを教えていただきました。
印象に残っているのは、何度も話されていた「分業できるようにしてあること」という言葉です。これは深いですね。そのためにはワークフローやワークスペースなどが具体的にイメージができていることが重要になると思うので、その方法や具体例をご説明いただいた感じです。あと余談ですが、Wi-FIネットワークに「(´°ム°`)」を発見できたことがうれしかったです (笑)。
- ドキュメントの用意と整理(説明時間の省略と忘れた時やチェック時の確認に)
- 仕様の明確化(作業者を迷わせない)
- 曖昧な仕様を先に解決しておく(手戻り工数の削減)
とくに、こうしたことが共有できずに進んでしまった際の「手戻り」コストを想定しておかないと、余計なコミュニケーションコストがかかりすぎて肝心の中身(品質)についての確認に至らない可能性も出てきます。ボク自身も過去にそうした経験をしてるので身にしみる体験談を聞かせていただきました。
最後に、コミュニケーションツールとしての「slack」や「Redmine」「Git」などのプロジェクト管理ツールをご紹介いただきました。こちらは後に講演する新垣さんのセッションでもお話しいただいたツールもありました。
札幌で経験した地域コミュニティとの関わり方
Webデザイナーの高橋さん(コモモさん)とマークアップエンジニアの森さん(モリコさん)からは、札幌でのコミュニティ運営で気づいた点を教えていただきました。
彼女たちは長谷川さんの主催されているコミュニティ「SaCSS (Sapporo.CSS)※」に参加して7、8年だそうで、これまでに全国のイベントにも参加して経験値をためてきたそうです。そうした経験値を活かして自分たちで開催したイベント「Direction Night」とその経緯についてお話しいただきました。
- それまで多くあった技術系ではなくディレクションがテーマのセミナーがよかった
- そのセミナー講師と直接つながり、自分たちでセミナーを開催することになった
- はじめて自分たちでセミナーイベント「Direction Night」を開催
- 単発で終わらず Vol.4 には、コンセント社のディレクターを招いて大盛況だった
結果、思った以上に準備が大変だったこと、プレゼンの敷居が高かったことを理由に、福岡の「さと研」を参考にピボットしたそうです。セミナー形式からアンカンファレンス形式に変更し、名称も「わくわくWWWさっぽろ」で再始動した経緯までお話しいただきました。
最後のまとめにあった「無理をしない!自分たちのペースを守る」が一番印象に残っています。沖縄でもそうしたコミュニティがたくさんできるといいなと思いました。
彼女たちの新刊『作りながら学ぶ HTML/CSSデザインの教科書』もコーダーやマークアップエンジニアやWebデザイナーは要チェックです。
※『SaCSS(サックス)』は、札幌で主にコーダー(マークアップエンジニア)やWebデザイナー向けに、HTMLやCSS、JavaScriptなどフロントエンドの内容を中心に、ほぼ毎月セミナー・勉強会を開催しているコミュニティーです。
IT企業のデザイナーが教える、仕事で使えるツール
フルスタックデザイナーでもある株式会社レキサスの新垣さんからは、「仕事で使えるツール」をいくつか紹介いただきました。自分も使ったことのあるツールから、使ったことのないツールまで同社での実績としてご紹介いただきました。
そのうえで、(エンジニアとからむときに)覚えてほしいツールを「Webサイト制作」「エンジニアとの協力」「気楽なやりとり」と3つのテーマで掘り下げて教えていただきました。それぞれのサービス特長は割愛するとして、まとめると次のようなことだったと理解します。
- 余計なコミュニケーションをなくすためにもツールを効率よく使うべき
- デザイナーとエンジニア、コーダーとエンジニアなどのコラボが必要
- 従来の手法だけに頼らず、効率化をすすめるためにもいろいろ試すこと
以下、紹介いただいたツールをテーマに分けてリストアップしておきます。
Webサイト制作
- タスク管理「Backlog」
- ソースファイル管理「Git」と「SourceTree」
- 素材・資料管理「Google Drive」
エンジニアと協力
気楽なやりとり
- 社内での気軽なチャット、ビデオチャット「Google ハングアウト」
- プロジェクトメンバーや部署内でのチャット「slack」
- 全社連絡 + 業務ツール(稟議・パスワード・備品管理など)「kintone」
まとめ
パネルディスカッションでは「デザイナーへの指示やそのコミュニケーションが通じない場合どうするか?」という質問がありました。ボクの場合、参考サイトを見せてそれに合わせる工夫をお願いするとお話しましたが、Webデザイナーのコモモさんも同じような回答だったと思います。ただ、ボクの場合は対クライアントで、コモモさんは対ディレクターだったと記憶しています。
今回のセッションは、簡単にまとめると、ボクのセッションは「ペアワークで気づくコンテクストの理解」、ハムさんからは「リモートワークとクライアントとのやりとりガイド」、高橋・森ペアからは「コミュニティへの参加と主催者経験談」、そして新垣さんからは「エンジニアからのツール紹介」ですかね。
ほかの登壇者のセッションを聞きながら「何のコミュニケーションを扱っているか」を常に頭に浮かべながら聞かせていただきましたが、もっとも印象に残ったのはハムさんのセッション内容が常日頃「それは当然だろう」と思っていたことをあえて伝えていたことが印象に残っています。逆に伝える必要があるということは、やはりそうしたことで助けになる人がまだまだいるということでしょうか。それと新垣さんのセッションで「Backlog」を知らない方が数人いたことです。
沖縄という場所や仕事観、文化の問題もあるかも知れませんが、もしかすると今回の参加者の仕事内容とスピーカーの仕事内容にも〈ギャップ〉があったのではないかと思います。ただ、これを機にこれからのコミュニケーションをより効率化し、お互いきちんと意思疎通しやすい環境になっていけばいいなと思いました。その意味でもその後の懇親会でもっとたくさんと方とお話ししたかったです。
関係者の皆さん、とりわけ運営に携わっていただいた株式会社レキサスの皆さん、そして今回のお声がけをくれたタケノリ氏、ありがとうございました。
※イメージ写真は、翌日ブラタカシをしているときに発見した青色のシーサーです。やちむんの村の大嶺ギャラリーにありました。
Image by 大嶺ギャラリー
1 Comment
Add Yours →[…] as IA/UX Designer ・24 Live Streaming ・UX as Culture in Kyoto ・AI Thinking #entermina ・Okinawa Creator’s Holiday Vol.1 #OCSH ・Global Accessibility Awareness Day […]