『MaaS x Card』がようやく完成し、クラファンでご支援いただいた方々すべてに配送を完了しました。着想から実現まで思った以上に時間がかかりました…が、ようやくスタート地点にたどり着いた感じでもあります。
もし、この記事をご覧になられた方で『MaaS x Card』についてご存じない方は、これまでの記事も合わせてご覧ください。
さて、その『MaaS x Card』の印刷を開始してから配送が完了する間に、世界中で新型肺炎・コロナウイルス(COVID-19)が大流行し今も自宅でこのブログを書いています。
クラファン公開時には、カードの完成・お披露目を兼ねたイベントを企画しておりましたが、感染リスクをふまえて自粛することにしました。大勢が集まり活発な意見交換を行うようなワークショップ開催も当面はできないでしょう。なので、予定していたイベントやワークショップについては「オンラインでするにはどうしたらいいだろう」と考えを巡らせているところです。
とにもかくにも、『MaaS x Card』についてここで改めて紹介し、その使い方についてなど、このブログに記載しておこうと思います。
『MaaS x Card』とは
「MaaS(マース)」とは「Mobility as a Service」の略で「サービスとしての移動」を意味します。その「MaaS」を企画するうえで重要なのが、人々の移動(体験: エクスペリエンス)です。
したがって、このカードはその人々の〈移動体験を可視化したもの〉になります。
特に、普段の生活で利用する機会の多い公共交通機関をベースに、5種類の交通モードを用意しています。5種類とは、自動車・タクシー・バス・電車・自転車です。その交通機関と移動体験をあわせて理解することができます。
つまり、『MaaS x Card』とは「5つの交通モードにおける、人々の移動体験を可視化したもの」です。
カードを使う目的
このカードを使う目的は、移動体験を理解したうえで、人々にとってより有益な「MaaS(モビリティ・サービス)」を企画・開発することです。
そのためのアイデア発想からリサーチのとっかかりに活用できます。このカードを使うことで「移動体験について理解できた」や「ほかの交通モードの場合はどうか考えることができた」「移動体験前後のつながりをみることで、既存サービスの課題がわかった」などが得たい結果です。
カードの内容
カードは、表面に移動体験のイラストが描かれており、タイトル文字と合わせて見ることで何を描いているのかはわかると思います。
裏面にはイラストはなく、その移動体験にまつわる事柄を文字で「WHAT(それは何か)」と「HOW(どういう方法か)」が書かれています。それぞれにある箇条書きはあくまで例ですので、使い方に合わせて参考にしてみてください。
カードの種類
カードは7種類あり、全部で54枚あります。色分けしているので、パラパラとめくりながら色の違いを見つけてもらうといいでしょう。山に分けて並べてもらうとわかりやすいです。カードの質感やサイズは、タロットカードと同じです。
COMMON(4つ)
「キッカケ」「目的地」「乗り継ぎ」「モバイル」
PERSONA(5つ)
「旅行者」「社会人」「主婦」「学生」「高齢者・移動弱者」
CAR・TAXI・BUS・TRAIN・BIKE(各9つ)
「予定を計画」「乗車前に移動する」「待ち合わせ」 「乗車する」「移動する」「決済をする」 「降車する」「降車し移動する」「乗降場所」
広告やマーケティングを学ばれた方であれば、各交通モードにある9つのカードは、さしずめ「AIDMA(消費行動モデル)」のようなものを分解したものといえば伝わりやすいかも知れません。つまり、移動における行動モデルを構築するための材料(ピース)にあたります。
カードの使い方
カードは色分けしているので、色ごとに並べていくだけでもストーリーが作れます。ここでは、2つの使い方を紹介します。カード本体キットに含まれている説明書にもこの2つを要約して書いていますので、合わせてご覧ください。
※あらかじめ「ワークシート1」「ワークシート2」をご覧いただくか印刷していただくと、このあとの説明が理解しやすいです。
CREATE STORY(ワークシート1)
カードの表面だけを使って複数横に並べるだけで、移動体験とはどういうものなのか、どういう行動が含まれているのかを理解することができます。
- ペルソナのカードを引く(「旅行者」「社会人」「主婦」「学生」「高齢者・移動弱者」の中から一つ選ぶ)
- 交通モード(種類)を選ぶ(「車」「タクシー」「バス」「電車」「自転車」の中から一つ選ぶ)
- 同じ交通モード(種類)の中から4枚引く(ランダムに4つ選ぶ)
- 4枚を並び替える(ワークシート1の「ACTIVITY」に並べる)※時系列に並べるなど
- 選んだペルソナと、その4つのカードに描かれた体験から、オリジナルストーリーをつくる
- ストーリーを発表する(ワークシート1の「YOUR STORY」に書く)
CREATE IDEAS(ワークシート2)
カードの裏面を使い、ペルソナと組み合わせることで、そのときの課題「PAIN POINTS」と、課題を解決するためには何ができるか「HOW YOU CAN HELP ME」を考えるキッカケを強制的につくることができます。
- ペルソナのカードを1枚を引く(ワークシート2の「PERSONA」に置く)
- ペルソナ以外のカードから1枚を引く(ワークシート2の「ACTIVITY」に置く)
- 確認できたらそれぞれのカードを裏面にする
- 各カード(裏面)に書かれた「WHAT」と「HOW」から1つずつ選ぶ
- 選んだ「WHAT」から、ありそうな課題を「PAIN POINTS」に書く
- 同じように、選んだ「HOW」から解決できそうなことを「HOW YOU CAN HELP ME」に書く
- 最後に、「PAIN POINTS」と「HOW YOU CAN HELP ME」からサービスアイデアを「IDEA」に書く
- アイデアを発表する(ワークシート2の「IDEA」に書く)
カードゲーム
カードは、タロットカードやトランプと仕組みは同じなので、順番(数字)や種類(色)を使ってカードゲームとして遊ぶことも可能です。
- ランダムに5人に配り、同じ体験や種類を集めるババ抜き風ゲーム
- カードを、別々の人で引いてつなげるオリジナルストーリー
- 共通カードをストーリーに差し込むことで生まれる強制発想
- 既存サービスを、カードで並べて理解する教材
カードの使い方はさまざまですので、この限りではありません。ルールを決めて大人数ですることもできますし、一枚だけをじっくり見つめて自分に起きた出来事を振り返ることもできます。ひとりでも使うことができますし、複数人で使うこともできます。グループで使う場合には、ぜひ専用ワークシートなどを用意するといいでしょう。
ワークシートを作ろう
ワークシートを作ることで、ルールをつくることができます。カードをただのデータと考えると、ワークシートはそのデータの解釈であり、サービスの文脈を生み出す装置にもなり得ます。
当初用意したワークシートは公開しておりますので、自由にダウンロードして使うこともできますし、そこから自社向けや既存サービス向けにカスタマイズしてつくることが可能です。
またぜひ、カスタマイズしたワークシートなどは後述するコミュニティなどで共有いただけるとたいへんうれしいです。ワークシートの数がこのカードの使い方のバリエーションになりますので、ぜひご協力ください。
コミュニティに参加しよう
どなたでも参加できる Facebook グループ(承認制)を開設しました。先述したオンラインでのワークショップについてや、使い方のアイデアなどなど、ぜひ情報交換しましょう。
カードの販売・取り扱いについて
『MaaS x Card』はクラウドファンディング『CAMPFIRE』にて、先行販売をさせていただきました。
現在、販売ページを準備中です。『MaaS x Card』の販売をご希望の方は、公式ウェブサイトの「お問い合わせ」フォームから「購入希望」と書いてご連絡をお願いします。近日中に販売ページを公開したいと思います。