3年前に、一人で挑むライブ配信番組『24』をしていましたが、このたびチャリティイベントとして8月24日に「24時間ライブ配信マラソン」に挑戦しました。その記録として書いておこうとおもいます。
背景
今年の3末くらいからコロナ感染のニュースが続き、緊急事態宣言も出たりして、テレワークが続いています。そんなコロナ禍で、なんだか気分が晴れずモヤモヤしている毎日を払拭したい、そういう気持ちが次第に強くなってきました。そんな中、「24の番組はしないの?」と友人に言われたことがキッカケで、たしかに今ならできるかも、と今回の企画を考えるようになりました。
8月19日に、田口真行さんのイベント『1カ月前ですが。』をライブ配信したときに、『24』の復活と24時間ライブ配信を提案しました。24時間ライブ配信は実は3年前に田口さんとは話していたので、イメージは共有しやすかったです。
テーマは「のたりのたり」としました。一日中ライブ配信をしている様を、与謝蕪村の歌「春の海 終日(ひねもす)のたりのたりかな」からとっています。さらに、参加無料にしたうえで、チャリティで寄付チケットを購入いただくようにしました。
配信環境
3年前は、田口さんのオフィスにお邪魔していましたが、今回は自宅からのライブ配信です。田口さんも重用している「Ecamm Live」を配信ツールに使うようにし、対談時には「Skype」のビデオ通話を NDI を使用し Ecamm Live 側から操作します。機材等は以前書いた記事「HDMI or USB-C Connected TYPE」にもありますが、一眼カメラ「SONY α7 III」を「ATEM Mini」につないで配信します。
事前のテストでは、USB-C 接続で使っていたんですが、Skype 側からバーチャルカム「CamTwist」が認識しないこと、iPad Pro 画面とルミナンス合成をしたかったことから、直前に HDMI ケーブルを刷新し ATEM Mini につないで実現しました。
プログラムとゲスト
今回、多彩なゲストをお招きしてお送りすることができました。総勢21名(+クマレルの相談者2名)です。突然相談させていただいたにも関わらず、皆さんご快諾いただき感謝のしようがありません。
24時間のプログラムのため、1時間おきにゲストを入れ替えるということをはじめに考えました。参加可能な時間帯をゲストにお聞きしたうえで調整をするということで、タイムテーブルごとに振り返ってみようとおもいます。
01:00~ オープニング w/ 田口真行・森下千津子
今回、24時間配信をするうえで『プロ機材ドットコム』の森下さんからLED照明「ロールフレックス T12」をお借りすることができました。事前に設置の仕方等をビデオでお送りいただいたり、たいへんお世話になりました。当日はいつもとは違う雰囲気の森下さんでしたが、おかげさまで番組中は安定して照明をあて続けることができました。
01:00~イベント w/ 鷹野雅弘
久しぶりに鷹野さんとお話しすることができました。以前は CSS Nite のイベントに登壇させていただくことが多かったのですが、今回は逆にゲストとして参加いただきました。DTPをされる前について聞いていたときに、音楽好きで歌手のプリンスの曲が好きだというお話しがありました。採譜をされていることや関連するグッズ等をお持ちだという点が新鮮でした。
02:00~緊縛 w/ 高瀬ヤスジ
ウェブ系から緊縛の世界に転職した高瀬さん。久しぶりにお話しすることができました。現在は、フリーの緊縛師でもあり、映像編集なども行っているとのこと。常にカウンターカルチャーを意識されている高瀬さんが、ご自身のチャンネルづくりからインプットの仕方などについて詳しくお聞きすることができました。
03:00~ゲーム w/ 田口真行
当初、ゲームをするつもりでしたが、テーマ曲をつくるという田口さんの意向もあり、この時間は田口さんの楽曲づくりの時間としました。以降「テーマ曲『のたり』」にまとめていますのでご覧ください。
04:00~ネットサーフィン
以前に WeWork でプレゼンした『UI/UX Design for Mobility』を部分的ですが再演し、その中にあるMaaSアプリについて実際にアプリを触りながらレビューをしようと思っていたのですが、iPhone の電池が少なくなっていたため、ミラーリング等を断念し、スライドのキャプチャをもとにお話しすることができました。現在『MaaSアプリデザインガイド』をeBookとして作成中です。
05:00~イラスト
iPad Pro を使ってイラストを描くわけですが、3年前の番組でも同様に「Procreate」を使ってリアルタイムで絵をルミナンス合成して見せるようにしています。今回は、以前に書きそこねていた猫をモデルに描いてみたのですが、描き方を忘れていたようでなかなか進みませんでした。
そしてこのあと、6時直前にボクのカメラの接続が一時的に切れてしまうハプニングがありました。原因は、iPad をUSB接続した際に出たアラートを間違って押してしまったようです。カメラは一時切れましたが、さいわい田口さんとデュアル配信をしていたため、落ちることなくそのまま [Go Live] を押して続けることができました。
06:00~着付け w/ 淺田瑞子
彼女は元同僚ですが、5年前から地元で着付けをしています。3年前に京都であったイベントでデニムの着物を選定していただいたことをキッカケに、当時の『24』の衣装にさせてもらっています。今回は、オンライン着付けにチャレンジし、帯の結び方『貝の口(帯結び)』を教わりました。彼女の転職の背景から、強みの再発見などを改めて聞くことができました。朝早くからありがとう。
07:00~ラジオ
実はこの時間もイラストの続きを描こうとしていたんですが、「7時はラジオの時間!」とメッセを複数の方からいただいたので、その日のニュース、Twitter のトレンド等をとりあげて、朝のラジオ風にお話しすることができました。結果、イラストは未完成のまま終わることになりました…。
08:00~ヨット w/ 廣中龍蔵
ボクの上司の廣中さんには、趣味でされているヨットのお話しをみっちりしていただきました。最近チームでご購入されたヨットのクラス(モデル?)を引き合いに、なぜヨットをすることになったのかという学生時代の経緯や、世界チャンピオンと同列で参加することになる競技における難しさ、マンパワーに完全依存してしまう技術力の違いなどご苦労の点など聞くことができました。趣味の話なんて新鮮すぎました。いつかヨットに乗ってみたい…。
09:00~民主主義 w/ 原 裕・八木橋昌也
おふたりは『ぱちはらダイアログ』というライブ配信番組をされており、いつか参加してみたいなと思っていたところを逆にこちらに参加していただきました。「民主主義」というテーマでしたが、八木橋さんは「自由」という言葉も使っており、デザインの作り方(Co-Creation)や誰でも発言しやすい現場づくりなどについて詳しく聞くことができました。彼のブログに細部は書かれているのでこちらもご覧ください。今度はボクが彼らの番組に参加したいとおもいます。
10:00~プレゼン w/ 鷹野雅弘
2回目の登場では、プレゼンについてお聞きしました。最近あったリアルとオンラインとデュアルで配信した結果の失敗談や、グリーンバックについてお話しいただきました。後半は、アクションをショートカットに割り当てることでできるTIPSを多く教えていただきました。ツイッターにそのつづきを投稿されているのでご覧ください。
11:00~フットウェア w/ 池田僚介
現在、「barefoot」というフットウェアの開発プロジェクトを一緒にしている静岡の池田さんからは、プロジェクトの背景から現在の課題についてお話しすることができました。もうそのままミーティングしている風に。既存の競合ではなく差別化はどこにあるのか、ハプティックなどのプロトづくりについて話をすすめることができました。IoTエンジニア募集中です!
12:00~大河 w/ 勅使純雄
以前に、小田原城攻めと称して小田原城跡のセンゴク原画展や石垣城跡、山中城にふたりで行ったこともあり、歴史オタだと自称する登山家でもある勅使さんからは、城作りについてや大河ドラマについてお話しいただきました。『麒麟がくる』の信長は現在の研究結果から導き出したチャレンジだとして、来週から再開する大河ドラマ『麒麟がくる』が楽しみになりました。次は、丹波に行きたいね。
13:00~映画 w/ 山藤茂樹・鶴飼博将
ふたりは元同僚で、現在『映画でしゃべらnight!』でライブ配信をしているということで、この時間はお昼ですが、その番組を移植していただきました。テーマは「アカデミー賞」ということで、その歴史を弾丸トークで繰り広げておりました。ちょっと音声ノイズが断続的にあったので、聞きづらかったところがあるかとおもいます。そして実はこの間に、おにぎりを食べたり、カメラのバッテリーが切れてしまい交換していたりしました。
14:00~デザイン w/ 長谷川恭久・山本麻美
麻美さんとは初対面ではじめてお話しさせていただくことができました。もともと音楽からスタートしていることや、現在はVUIなどいわゆるスクリーンのUIからは離れているなど、UIやUXについてのお話しもできました。恭久さんはツイッターやブログ等でちょくちょく拝見していたこともありましたが、実際に話すのは久しぶりでした。情報整理の仕方から組織における取り組み方、イノベーションについてお話しできたとおもいます。とても濃い時間でした。
16:00~スマートシティ w/ 池田僚介・中村健太
某プロジェクトにメンツとして参加しているお二人と、とくにLedgeの中村健太さんとはほんとうに久しぶりにお話しすることができました。池田さんからは、ウェブ系からそうしたAI系やボクのモビリティ系に舵を切った背景を聞かれたり、スマートシティという大きなことよりサービス単位で新しい分野にチャレンジすることについて話ができたとおもいます。かなり眠たかった…。
17:00~スニーカー w/ 中尾 豊
スニーカー好きと聞いていたのですが、思った以上にスニーカー愛が強かったです。結果3足の『エアジョーダン』を見せていただき、なにがどういいのか教えてもらいました。福井で知り合ってから何度となくご一緒させてもらい、一時は心配することもありましたが、9月末には新しい本も発売になるそうでたいへんご活躍中です。
18:00~歌詞 w/ 稲本浩介・千貫りこ
歌詞を分析してもらい「具体的⇔抽象的/難解⇔平易」を解説いただきました。久しぶりのりこさんは浴衣姿で、稲本さんのいる福岡はまだ明るかったです。ふたりは「チャゲ&飛鳥」好きとして、以前からカラオケ等でよくご一緒させてもらう仲でしたので、「ならではのリアリティ」として「具体的かつ平易」という傾向と対策をいただくことができました。
19:00~特別ゲスト w/ マキタマシロ
急遽、千貫りこさんと同じファンでもあるシンガーソングライターのマキタマシロサンに登場してもらいました。TV番組のエンディング曲にもなった『東京カラフル』は聞いたことある方もいるとおもいます。現在はイチナナ(SNS)等で活躍中とのことです。りこさんと行ったライブのときに歌っていた高橋真梨子の『for you…』もまた聴いてみたい。ぜひまた彼女のライブに参加したいとおもいます。
20:00~和太鼓 w/ 山田恵理子
和太鼓集団『響屋(おとや)』のユニフォームに身を包んだ山田さんからは、3年前にも使わせていただいた『東風』と『もう一つの花』『KAGURA』の発表会映像を流させていただきました。お腹に直接響いてくる和太鼓の演奏は迫力もあり、その中にあるストーリー(流れ)を見つけたときには感動しました。やはり和太鼓の演奏はボクは好きだなあ。来年のイベントにはぜひ参加してみたいとおもいます。
21:00~クマレル w/ 松尾茂起
松尾さんが代表を務めるウェブライダー社の新サービス「クマレル」での生相談をすることができました。事前に「聞き手」として登録し、本番では2名の方に「話し手」になってもらい、さまざまな相談にお答えすることができました。とくに、情報設計についてや新しいチャレンジについての向かい方などが話せました。さいごには松尾さんともゆっくり話せて楽しかったです。
23:00~ミュージック w/ 田口真行
以下をご覧ください。
テーマ曲「のたり」
このイベントを企画したときから、田口さんは番組の曲をつくろうと言ってくれました。もちろんボクも大賛成だったわけですが、まさか歌詞を自分でつくるとは、まさか自分で歌うことになるとは思ってもみませんでした… (笑)。
当初のプログラムでは 3:00 に田口さんと「ゲーム」をする予定でしたが、急遽曲づくりの時間に変更し、90年代ポップス風の曲作りがスタートしています。その後、9:30 の時点でほぼ完成したとメッセージを受け取っています。このタイミングで田口さんはライブ配信をしていました。
番組は進行中でしたので、その間に曲を聞くこともできなかったのですが、20:00 過ぎに隙間時間ができたので急遽田口さんから曲を聞かせてもらうことができました。
それで歌詞をつくるということですが、そんなに急にできるわけはありません (汗)。
その後もプログラムが続き、結局 22:00 少し前にようやくきちんと時間がつくれたので、ローカルでメロディを聞きつつ、iPad Pro に手書きで歌詞を書いていきました。そのときの模様は、田口さんのライブ配信で中継されているのを見ることができます。
イベントのテーマ「のたり」という言葉をサビに使うようなことを田口さんは事前に話されていましたが、頭の中で歌ってみると滑舌が悪いこともあり、「のたり」はあまり使いたくないなと思うようになってました。
終了30分前くらいにできあがった人生初の歌詞づくりの成果👇
あの日見たあの日の記憶 今までものたりと見ていた あれこれと話したね ゆれていた君の顔 朝焼けの空見上げていた 遠い日のあの空へ 「のたり」作詞 坂本貴史
曲と歌声を Skype 越しにミックスして完成した曲👇
メロディや音に言葉を合わせることの難しさを痛感しました。そのうえでストーリーをつくるなんて神業以外の何ものでもない。メロディや音を聞いて、それに合う言葉を探すことを繰り返します。「あの日見た」「あれこれと」「ゆれていた」は比較的最初からハマっていて、そこからストーリーを考えました。
今回のイベントの背景にある「3年前からのおもい」というのと、18時の回でりこさんや稲本さんからもらった「ボクならではのリアリティ」を入れて考えました。「ゆれていた」のは、「君の顔」とつづけていますが、実は話しながら寝ていた自分の姿を重ねています。
ライブ配信ならではとして、Skype を通じて音と歌をネットワーク越しに重ねて配信するという荒業でさいごを締めくくることができました。
ライブ配信マラソンの結果
途中で途切れることなく配信しつづけた結果、24時間1分23秒のライブ配信となりました。個人での24時間ライブ配信は他に類を見ないのではないかとおもっております。
総勢21名(+クマレルの相談者2名)にご出演いただき、970回の視聴、寄付チケットの購入は50名を超えることができました。今回の収益は『WHOのための新型コロナウイルス感染症連帯対応基金』にとりまとめて寄付します。
ただ残念なことに、Youtube Live は12時間を超えるライブ配信は自動アーカイブされないようで、現時点でも見返すことができません。検索結果には出るしログはしっかり残っているのですが…。この状態が変わらなければ、本当に幻の配信になってしまいそうです (汗)。
ライブ配信という現代の技術で挑戦したわけですが、視聴した人々の記憶にしか残らないものになってしまいました。…まぁそれもいいか、とすでに懐かしく思っている今日このごろです。
いずれにしても、当初の目的でもあるコロナ禍におけるモヤモヤを払拭するキッカケになったのではないかとおもいます。自分自身は結局40時間以上起きていたこともあり、まだ眠気が取れないところが若干あります (汗) が、モヤモヤしていた気分を一掃するたいへん刺激のあるイベントにできたとおもいます。視聴していただいた方々にも、同じような感想を持っていただけたら幸いです。
着想から3年越しではありますが、発案から実施まで2週間もない状態から開始し、田口真行さんのたいへん分厚いサポートのおかげで途中で途切れることなく配信し、無事終了までこぎつけました。同じようなことをしたいという人はきっと少ないとはおもいますが、この経験をまた次につなげていきたいとおもいます。
ご協力いただいた皆さま、ご視聴・参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
ハッシュタグは #24のたりのたり です。ご感想などお寄せください。
2 Comments
Add Yours →[…] コロナ禍で塞ぎ込みがちになっていた当時の空気を払拭したく、個人でライブ配信を24時間するというチャリティ番組『24時間ライブ配信マラソン』を企画し挑戦しました。エンタミナの田口さんにサポートいただき、計23名のゲストをお招きして24時間しゃべり続けました。 […]
[…] 配信番組『24 (ニジュウヨン)』とは、2017年5月24日から2018年2月24日まで、計10回を放送したライブ配信番組です(ページ末尾に過去ログを掲載)。株式会社エンタミナの田口真行さんのご協力のもと配信し、昨年2020年8月24日にはチャリティイベントとして24時間ライブ配信マラソンを実施しています。 […]