Era Web Architects Exhibition

去る3月14日、自ら企画した『Webサイトをつくってきた人々の写真展「Era Web Architects」』を無事終了することができました。延べ100名超の皆さんにご参加いただき、本当にありがとうございました。

この取り組みは、着想から実現までおよそ2年くらいかかったことになります。その間に、新型コロナウイルスの世界的大流行にともない一時自粛をしていましたので、2020年9月末からの再始動から数えるとおよそ半年で実現したことになります。

有志で集い、公式サイトを開設し、クラウドファンディング『CAMPFIRE』で目標金額を達成し、モデルへのインタビューを Youtube チャンネルで配信していたりします。展示会はあくまでマイルストーンになりますが、その達成を記念してこの記事は書いています。

ポートレート写真の世界

写真家の坂本貴光さんが今回の撮影をすべて引き受けていただきました。たまたま一文字違いの名前であったことから Facebook でつながった彼にボクの撮影をお願いしたのが2019年8月ごろです。そのときの衝撃と感動を多くの人に体験してもらいたいと考えて本企画を思い立ちました。

Hasselblad のカメラで撮影し、特殊な紙(漆喰・フレスコ紙)への印刷により、黒や白の濃淡が潰れることなく表現され、細かな部分では肌のシワや繊維のほつれやヒゲの剃りあとまで隅々まで見ることができます。1年かけて色を定着させその後死ぬまでは保つというものなので、この物体も残るということになります。

肌のシワや髪の毛のディティール

単純な美しさではなく、歳を重ね経験を積んだ職人の姿がそこにはあります。

彼の作品の特長は、目が特長です。目を中心にデザインされた人間の顔を無意識に見てしまいます。そこから細部をじっくりと見ていくプロセスは、非常にゆっくりと顕微鏡でも覗いているような速度で見ていくことで新たな発見を繰り返します。個人的には対象を切り抜いていないことに一番驚きました。それだけエッジが自然な状態で見ることができます。

1週目と2週目とでは、見る方の見方も感じ方も変わってきます。近くで見ることもそうですが、遠くから斜めに見ることで、立体にも見えるのが面白い特長です。スポットがあたっているせいか、本当にそこにいるように思えてきます。

エッジの自然さときめ細やかな繊維

空間と体験設計

都内にあるレンタルギャラリーをいろいろ探し回った結果、恵比寿にある『弘重ギャラリー』に決めました。一戸建ての白基調のミニマムな空間は「ここでしかない」と思ったほどです。

搬入時に、A1サイズのパネルがパーテーションを挟まずに30名分きっちり並んだこと、スポットライトも一人ひとり直接当てることなどができたときは、本当に鳥肌が立ちました。

30名のポートレートですから、全員から見られているような感覚があります。鑑賞にきているつもりが逆に30名から見られているという不思議な感覚に襲われました。

キャプションをつけるかどうかも最後まで悩みました。知らない人からすると「誰やねん」ということになるため、QRとかをつけて…とおもいましたが、やはり写真の世界観に没入していただくためキャプションはつけず、配布物に含めるようにしました。

結果、この写真展は本当にポートレート写真しか飾られていないミニマムな空間を演出することができました。

弘重ギャラリーでの展示風景(手前から)
弘重ギャラリーでの展示風景(奥から)

この空間で、はじめて会う方はもちろんですが、久しぶりに会う方ともじっくりお話しができたこともよかったです。当初コロナ禍のためどうなるかと心配してましたが、実際にはたくさんの方にご来場いただけました。

とくに、家族連れでお越しになり、作品を前にお話している様子は、当初から一番大事にしたかったことの一つでしたので、実現できてホッとしています。

書籍化に向けて

写真展と並行して進めてきたモデルへのインタビューを Youtube チャンネルで毎週配信しています。まだ30名分の配信はできておりませんので、引き続き毎週配信をしていきます。

また、配信と合わせてWebメディア『WD Online』への掲載も開始しております。こちら時間差で公開しておりますので、テキストで読むことを目的にしたインタビュー記事です。

この、写真とインタビューとを合わせて書籍化を目指しています。クラファンではすでに応援チケットを販売しておりましたので、次のマイルストーンとして書籍化を計画しています。また、改めて先行発売などのご案内をさせていただくとおもいますので、よろしくお願いします。

アーカイブプロジェクトとして

写真展の会期中に、3月11日の東日本大震災を追体験できました。デジタルアーカイブ「忘れない:震災遺族10年の軌跡」というサイトで当時の行動記録をみることでき、10年前のツイッターを見ることができるサイト「TwiJump」も話題になりました。

一方で、テック系のニュースでは「NFT(Non-fungible token)」が話題となり、デジタル資産について考えるキッカケがありました。NFTアートというジャンルもできつつあるそうで興味が湧きました。

ちょうど写真展に参加された大橋正司さんと話していたときにも、「ジャパンサーチ」などへの登録もできるのではないかという話になったことをキッカケに、アーカイブ化について調査し然るべきアーカイブ化できるようすすめていきたいとおもいます。

文化へのいざない

写真展の開催初日にレセプションを開催しました。坂本貴光さんの紹介で『100万人のクラシックライブ』で、バイオリンとビオラの生演奏を堪能しました。ドイツでは美術館の初日はこうした演奏をすることがよくあるそうです。

演奏された「オー・シェンゼリゼ」を聴きながら泣きそうになったのは内緒ですが (なぞ)、この日この空間でこうして写真展を開催できた喜びと、参加いただいた皆さんとお会いしお話しできたことに感謝しています。

「文化」というと大げさに聞こえますが、デジタルで仕事してきた半生を写真という形でアウトプットできたこと、アートとして作品として見ていただけるようにしたこと、作品を介して人と会い直接話ができる空間を作ったことは、これまでにはない取り組みになったとおもいます。

今後、さまざまな場所でさまざまな方とまたお会いできる機会があるかとおもいますが、今回の取り組みを経て自分の中に「文化」のようなものができてきた感じがします。

100万人のクラシックライブ 演奏中の風景

引き続き Era Web Architects プロジェクトをよろしくお願いします。

本件に関するほかの記事も合わせてご覧ください。

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